1) 音の距離を知ると、何が便利なの?
メロディやリフを耳で覚えるとき、私たちは無意識に「距離」を感じています。
「少し上がった」「だいぶ下がった」――その感覚を数字で表すのが度数です。
度数を知っていると、音の関係を数字で再現できるようになります。
音楽理論を"レシピ"に例えるなら、度数はその中の「大さじ」「小さじ」のようなもの。
誰もが同じ単位で話せるからこそ、同じ響きを再現できるようになります。
つまり、度数は音楽を共通言語として扱うための"計量スプーン"のような存在なのです。
* 耳コピ:音の動きを数字で記録できる。
* 作曲:上がる/下がる距離を設計して、狙った雰囲気を出せる。
* 楽曲分析:コード進行やメロディの"流れ"を数値で整理できる。
度数を理解することは、今後学ぶコード(和音)やスケール(音階)の理論を理解するための共通の基礎になります。
例えば、Cメジャーのコードの構成音はド・ミ・ソ、Eメジャーの構成音はミ・ソ♯・シです。じゃあDは?Aは?F♯は?と全部を覚えるのは大変ですが、度数で考えるととてもシンプルです。
メジャーコードはルート・3度・5度でできています。
ルートにCやF♯を当てはめれば、あとはルートから3度と5度離れた音を選ぶだけでメジャーコードの構成音になります。
つまり、度数を理解していれば、どんなキーでも理論的にすぐに構成音を導けるのです。
2) ドレミファソラシドと度数、ルートの考え方
Cメジャースケール(ドレミファソラシド)を例にして、度数と音の関係を見てみましょう。
| 音 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 度数 | 1度(ルート) | 2度 | 3度 | 4度 | 5度 | 6度 | 7度 | 8度(1オクターブ上) |
ここで大切なのは、ルート(基準となる音)を1度として数えること。
つまり「ド」がルートなら「レ」は2度上、「ミ」は3度上という関係になります。
🎶 音階上のルール(ここが半音!)
ドレミファソラシドの中で、音と音の間が半音になるのは次の2か所だけです👇
| 間の関係 | 間隔 | 度数の関係 |
|---|---|---|
| 3度(ミ)と4度(ファ)の間 | 半音 | 3 → 4 |
| 7度(シ)とルート(ド)の間 | 半音 | 7 → 1(次のオクターブ) |
それ以外の音の間はすべて全音(1度)。
この法則を覚えておくと、どのキーでもスケールやコードをルートからの距離(度数)で理解できるようになります。
🎸 ルートを変えるとどうなる?
ルートをCからDに変えると、音はすべて1音高くなります。
| ルート | 1度 | 2度 | 3度 | 4度 | 5度 | 6度 | 7度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| C(ド)基準 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
| D(レ)基準 | レ | ミ | ファ♯ | ソ | ラ | シ | ド♯ |
聞いた印象はほぼ同じですが、全体が1音高いだけ。
これは音の距離(度数)の関係が同じだからです。
ドレミファソラシドは、あくまで「ルートCを基準にしたスケールの形」であり、ルートを変えればキー(調)も変わります。
3) ギターにおける半音と全音
ギターでは、1フレット移動すると半音音が変わります。つまり、2フレット移動すると1音上がるということです。度数で言えば「1度」変わることになります。
この仕組みのおかげで、指板上でルート(基準となる音)を決めると、自然とどこに2度・3度の音があるのかが視覚的にわかります。
だからギターは、度数を可視化しやすい楽器といえるのです。
4) まとめ:度数は音楽の"共通単位"
* 度数=音の距離。耳コピ・作曲・アドリブ・分析すべての基礎。
* コードやスケールを音名でなく度数で把握すると、どんなキーでも仕組みを共通の基準で理解できるようになり、全体像がぐっと掴みやすくなります。
* ギターは度数を可視化しやすく、ルートの位置さえわかれば、どこに他の度数があるのかも一目で把握できます。
* 度数が分かると、音楽理論が一気に見通せるようになります。
> 次の記事では、この度数を使って音を重ねた「コード(和音)」について学びます。 > OtoTheoryのアプリでは、フレットボードやコード辞典など、色んなところで度数を把握できるようになっていて便利ですよ。試してみてください。
