度数(インターバル)とは、音と音の距離をあらわす単位です。
前の記事で「音楽理論はレシピ」と書きました。度数は、そのレシピの中で材料の量を正確に伝えるための"ものさし"です。センチメートルやインチが長さを測るように、度数は音の距離を測ります。
メロディやリフを耳で覚えるとき、私たちは無意識に「距離」を感じています。
「少し上がった」「だいぶジャンプした」──その感覚を数字で表すのが度数(インターバル / Interval)です。
度数を知っていると、音の関係を数字で再現できるようになります。耳コピ、作曲、コード進行の分析──どれも度数が基本の「ものさし」です。
🎯 今回覚えてほしいのは、この3つだけ
この記事にはいろいろ書いてありますが、持ち帰ってほしいのは3つだけです。
① 音には起点となる「ルート」がある
② ルートを起点に、1度から7度までの音がある
③ メジャースケールでは、3度→4度 と 7度→1度 の間だけが半音間隔になる
この3つさえ押さえておけば、この先のコードもスケールもダイアトニックもずっと理解しやすくなります。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
🎹 ① ルートと、② 1度〜7度の音
曲やコードには基準となる音があります。それがルート(Root / 根音)です。
Cメジャースケール(ドレミファソラシド)を例にすると、こうなります。
| 音 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 度数 | 1度(ルート) | 2度 | 3度 | 4度 | 5度 | 6度 | 7度 | 8度(オクターブ) |
ルート(ド)を1度として、そこから順に数えていきます。「レ」はルートから2度上、「ミ」は3度上、という関係です。
ルートを起点にして、7つの音がある。 これが①と②です。🔔 ③ メジャースケールで半音になるのは2か所だけ
ここが一番大切なポイントです。
度数の間は基本的に全音(Whole Step)間隔です。でも「全音って何?」と思うかもしれないので、図で見てみましょう。
ドからレまでの距離(全音)
ド ド♯ レ●───半音───●───半音───●
ドとレの間には「ド♯」という音が挟まっています。半音(Half Step)2つ分=全音(Whole Step)。度数の基本間隔はこの全音です。
ミからファまでの距離(半音)
ミ ファ●───半音───●
ところが、ミとファの間にはド♯のような"挟まる音"がありません。直接つながっている=半音です。
ピアノの鍵盤を見ると、この仕組みがよくわかります。白鍵と白鍵の間には黒鍵(半音)が挟まっているのが普通ですが、ミ→ファ と シ→ド の間だけは黒鍵がありません。隣り合った白鍵が直接つながっている。これが「半音になる2か所」の正体です。
ドレミ全体で見ると
ド ─全音─ レ ─全音─ ミ ─半音─ ファ ─全音─ ソ ─全音─ ラ ─全音─ シ ─半音─ ド^^ ^^
ここだけ半音! ここだけ半音!
全・全・半・全・全・全・半──これがメジャースケール(長音階)の間隔パターンです。
そして半音になるのは「3度→4度」と「7度→1度」の2か所だけ。これが③です。
💡 なぜ度数が役に立つのか?──3つの場面
3つのポイントを覚えたところで、「で、それが何の役に立つの?」と思うかもしれません。具体的な場面で見てみましょう。
場面1: キーを変えても同じ曲が弾ける
ギターでカポを付けたり、カラオケでキー設定をいじったことはありますか?カラオケで「キー+2」にすると、起点となるルート音が上がります。それに伴って、曲を構成するすべての音も変わる。でも、曲の印象はほとんど同じですよね。なぜか?
ルートが上がっても、1度→3度→5度の距離が変わっていないからです。ギターのカポも同じ原理です。カポを2フレットに付けると全体が1音上がりますが、コードの押さえ方(=音の距離)は同じ。だから同じ響きになる。
実際に、ルートをCからDに変えたときの音を比べてみましょう。
| ルート | 1度 | 2度 | 3度 | 4度 | 5度 | 6度 | 7度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| C基準 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
| D基準 | レ | ミ | ファ♯ | ソ | ラ | シ | ド♯ |
音は全部変わっているのに、3→4の間が半音、7→1の間が半音──この法則はルートが何であっても変わりません。これが度数で考えるということです。
度数さえわかっていれば、どのキーでもコードやスケールを自分で導ける。 これが度数を学ぶ最大のメリットです。
場面2: コードの構成音(1・3・5度)を丸暗記しなくて済む
メジャーコードは「ルート・3度・5度」でできている。
この1行を覚えるだけで、C, D, E, F, G, A, B──すべてのメジャーコードの構成音がわかります。12個のキー × 何種類ものコードを丸暗記する必要はない。度数のパターンをひとつ覚えれば、あとはルートを変えるだけです。
場面3: メロディの「ジャンプ」に名前がつく
メロディを聴いていると、音が近くを動くフレーズと、大きく飛ぶフレーズがあります。この「飛び方」にも度数で名前がつきます。
たとえば、〈Amazing Grace〉の冒頭を思い浮かべてください。「ア・メーーイ・ジン」の「ア→メ」の部分で、低い音から少しジャンプします。この幅が完全4度──5半音分の距離です。あの厳かで穏やかな印象は、この「4度のジャンプ」が持つ響きそのものです。
一方、〈Somewhere Over the Rainbow〉の冒頭は?「サム・ウェア」の最初の2音で、一気に大きくジャンプします。この幅はオクターブ(8度)──12半音分。あの広大で夢のような感覚は、このオクターブジャンプが生み出しています。
度数を知ると、メロディの「ジャンプ幅」に名前がつく。名前がつけば、同じ幅を自分のメロディでも狙って使えるようになります。
🎸 ギター・ベース・キーボードで度数が"見える"
ギター・ベース
ギターでもベースでも、1フレット=半音、2フレット=全音です。
ルートの位置さえわかれば、どこに3度・5度・7度があるかがフレットボード上で見える。
── 1度 ── 2度 ── 3度 ── 4度 ── 5度 ──ルート +2F +4F +5F +7F
ロックで定番のパワーコード(Power Chord)は、1度と5度のたった2音だけで作られたコードです。メジャーでもマイナーでもない、シンプルで力強い響き。たった2音なのにあの存在感が出るのは、1度と5度が最も安定した音程関係(完全5度 / Perfect Fifth)だからです。
キーボード
キーボードでは、白鍵と黒鍵の並びから半音のパターンが直感的にわかります。ミ→ファ、シ→ドの間に黒鍵がない──先ほどの「半音になる2か所」がそのまま鍵盤に表れています。
🎛️ OtoTheoryで度数を体験する
OtoTheoryでは、度数を目で見て・耳で聴いて学べます。
* フレットボード表示:ギター・ベース・キーボードのフレットボード上に、各音の度数(R, 3, 5, 7...)が色分けで表示されます。ルートを変えても度数の位置関係がひと目でわかるので、「度数のパターンはルートが変わっても同じ」を視覚的に実感できます
* コード進行ビルダー:コードを並べて再生すると、今鳴っている音がフレットボード上でリアルタイムにハイライトされます。「このコードの3度はここにあるんだ」と、度数と実際の響きを同時に体験できます
* テキストインポート:好きな曲のコード進行をAI(ChatGPT や Gemini など)で調べ、OtoTheory にコピペでインポート。フレットボード上で構成音と度数を確認しながら、実際に再生して耳で確かめられます
試してみよう: Amazing Grace のコード進行(G → G → C → G → G → Em → D → D など)をOtoTheoryにインポートして、フレットボードで構成音を見てみてください。ルートからの4度や5度が、フレットボード上でどんな位置関係にあるか──この記事で学んだことが、そのまま目で確認できます。
✅ まとめ──3つだけ覚えて帰ろう
度数とは、音と音の距離をあらわす単位。ルートを起点に、1度から7度までの音がある。メジャースケールでは「全・全・半・全・全・全・半」の間隔パターンで並び、半音になるのは3度→4度と7度→1度の2か所だけ。
* ① ルート = 基準となる音。すべてはここから数える
* ② 1度〜7度 = ルートから順に7つの音がある
* ③ メジャースケールで半音は2か所 = 3度→4度 と 7度→1度。これがメジャースケールの骨格
* 度数を知れば、コードもスケールも丸暗記なしで導ける
* メロディの「ジャンプ」にも名前がつく──Amazing Grace は完全4度、Somewhere Over the Rainbow はオクターブ
📖 参照コンテンツ
この記事の作成にあたり、以下の情報源をもとに理論的な正確性と楽曲例の事実確認を行いました。
音楽理論・度数の解説* Musical Intervals – musictheory.net — 度数の定義、半音・全音の仕組み、メジャースケールの間隔パターン
* Interval (music) – Wikipedia) — 度数の分類(完全・長・短)と音楽理論上の位置づけ
楽曲例と度数の対応* Musical Intervals: Train Your Ear with These Easy Songs – Musicnotes — Amazing Grace(完全4度)、Somewhere Over the Rainbow(オクターブ)等の度数別楽曲リスト
* How to Recognize Intervals – key-notes.com — 度数ごとの聴き分け方と代表的な楽曲例
* Interval Song Chart Generator – EarMaster — 度数別の楽曲例データベース
パワーコード* Power chord – Wikipedia — ルート+完全5度の構造、ロック音楽での用法
次の記事では、この度数を使って音を重ねたコード(和音)について学びます。
「ルート・3度・5度」──さっき覚えた度数が、そのまま活きてきます。

