多くの人は耳と直感から始めます。それで十分。
ただ、「この"いい感じ"をもう一度、狙って出したい」と思った瞬間に、理論が力になります。
理論は"正解を押しつける教科書"ではなく、あなたの感覚を再現可能にする言葉です。
🎙️ ポールの"感覚"は言葉にできる
> "I don't read music. I just know what sounds right." > (楽譜は読めないけど、何が正しい響きかはわかる) > — Paul McCartney: Many Years From Nowビートルズは理論を勉強していなくても、曲を眺めれば一定の流れや関係が見つかります。
たとえば〈Let It Be〉(C–G–Am–F)。聴いていると、落ち着く場所と前へ進む力のバランスが心地よい。
彼らはそれを耳で掴んでいた。理論は、その"掴んだもの"を誰もが再現できる言葉にするための道具です。
🍝 レシピとしての理論
例えば、美味しいパスタを作ろうと思った時、いろいろなパスタを食べて「この味はどうやって出すんだろう」と試行錯誤して、ようやく自分の理想の味にたどり着くものです。でももし、最初からレシピがあったらどうでしょう?まずはその通りに作って味を再現し、そこからニンニクを足したり、火加減を変えたり、素材を変えて自分の個性を出していくでしょう。
音楽理論というのは、まさにそのレシピなんです。
音楽も同じで、理論というレシピがあると、
* まず同じ仕上がりにたどり着ける(再現性)
* そこから少し変えて試すことができる(発展性)
「今日は香りを控えめに」「もう少しコクを」──そんな微調整が、曲づくりでも可能になります。
理論があるから、再現できて、再現できるから、発展させやすい。🚀 "再現できると、発展できる"という実益
直感だけに頼ると、一度きりの偶然になりがち。
理論で言葉を付けると、「前回うまくいったあの感じ」を同じ条件で呼び出し、
そこに小さな変化(和音の厚み、進行の方向、ひとさじの意外性)を安全に加えられます。
結果として、自分のスタイルが育ちます。
🎼 ビートルズの楽曲を"レシピ化"してみる
たとえば〈Hey Jude〉を料理のレシピのように分析してみましょう。
* キー:Fメジャー
* コード進行:F → C → C7 → F → Bb → F → C(I–V–V7–I–IV–I–V)
→ トニック(F)・サブドミナント(Bb)・ドミナント(C)の役割が明確で、曲の基盤を安定させています。
また、サビやブリッジで現れる C7 は、Fメジャー内では借用的なコードとして機能しています。C7 の構成音 Bb は Fメジャーには含まれない♭7で、これがモード借用(Fミクソリディアン的)な響きを生み、ブルース的で温かいトーンを加えています。
最後のリフレインでは I–V の繰り返しが高揚感を生み、リスナーを自然に引き込む構造です。
* メロディ:Fメジャースケールを基調としながら、コード同様に♭7(E♭)を取り入れることで、ブルース的な緩さや開放感を生んでいます。特にサビやアウトロの"na-na-na"リフレインで顕著で、このE♭がポール特有の温かくも少し哀愁を帯びたムードを作り出しています。
この曲の"レシピ"をまとめると──
> 「オーソドックスなメジャースケールに♭7のスパイスを加え、I–Vの反復で感情を高める」というシンプルながら深い構成です。
このレシピを応用すれば、Hey Judeのように温かく伸びやかな楽曲を自分でも再現できるでしょう。
✅ いま分からなくても大丈夫
OtoTheoryは、見て・聴いて・触っているうちに自然と理解が深まる設計です。
最初は感覚で十分。言葉やルールは、あとから"腑に落ちる"タイミングで出会えばOK。
* 「コードって何?」→ 『コードとは?』でやさしく解説します。
* 「キーって何?」→ 『キーとは?』で"帰る感じ"を言葉にします。
* 「スケールがまだ不安」→ 『スケールとは?』で"使いやすい音のまとまり"を体験的に学べます。
> ※記事はアプリ内の「参考 → 学ぶ」にまとまっています。順番に読まなくても大丈夫。 > 今は気になったところだけつまみ読みして、アプリで試すのが最短です。
