OtoTheory
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コードの種類を広げよう──7th・sus・addで表現力を上げる

7th・sus・addで、同じ進行がもっと「らしく」なる

8min更新日 2026-03-29記事 9

コードの種類を広げるとは、トライアドに1音足したり、1音入れ替えたりして、同じ進行の空気感を変えることです。
前の記事では、ダイアトニックチームのコードを並べて「ドラマ」を設計する方法を学びました。今回は、そこにもう1音足すだけで、同じ進行がどれだけ表情豊かになるかを体験します。


🔁 まずおさらい──トライアドとは?

ここまでの記事で使ってきたコードは、すべて3つの音でできたトライアド(三和音 / Triad)でした。

5度(ソ)  ─┐

3度(ミ) ─┤ ← ルート + 3度 + 5度 = トライアド

1度(ド) ─┘

* 3度がナチュラル(E)→ メジャー(明るい)

* 3度が♭(E♭)→ マイナー(暗い)

この「明るい or 暗い」がトライアドの世界。ここまでのコード進行は、すべてこの2色だけで描かれていました。


🎨 トライアドは「Tシャツ」、7thコードは「+アクセサリー」

トライアドはシンプルな白Tシャツ(メジャー)黒Tシャツ(マイナー)のようなもの。それだけで十分にカッコいい、完成されたスタイルです。

でも、「明るい」にも種類がありますよね。爽やかな明るさと、おしゃれな明るさと、力強い明るさは違う。Tシャツだけでは、この違いを表現しきれません。

ここで登場するのが7thコード(Seventh Chord)。ルート・3度・5度のトライアドに、7度の音をもう1つ足すだけ。シルバーのネックレスを1つ足すような感覚です。Tシャツの形(明るい/暗い)は同じなのに、質感やニュアンスがぐっと変わる

7thコードはトライアドの「上位互換」ではなく、おしゃれの「バリエーション」。アクセサリーをつけない日があってもいいように、トライアドのままの進行にも良さがあります。


🎹 7thコードの3タイプ

7度の音の足し方には種類があり、それぞれまったく違った性格を持っています。度数の記事で学んだ「距離」の違いが、ここで効いてきます。

① メジャーセブンス(maj7)──「おしゃれで透明」

トライアドに長7度(ルートの1オクターブ上から半音下がった位置)を足したコード。

* Cmaj7 = C(1)+ E(3)+ G(5)+ B(7)

* 響きの特徴: 透明感があって、少し大人っぽい。シティポップやボサノバでおなじみの響き

* ダイアトニックでの出番: I と IV がmaj7になります(Cmaj7, Fmaj7)

聴いてみよう: グローヴァー・ワシントンJr.の〈Just the Two of Us〉。あの洗練されたイントロで鳴っているのがmaj7の響きです。「おしゃれなカフェのBGM」に聞こえたら、だいたいmaj7が鳴っています。

② マイナーセブンス(m7)──「切なくて柔らかい」

マイナートライアドに短7度(ルートの1オクターブ上から全音下がった位置)を足したコード。

* Dm7 = D(1)+ F(♭3)+ A(5)+ C(♭7)

* 響きの特徴: マイナーの切なさに柔らかさが加わる。角が取れて、ふわっとした浮遊感

* ダイアトニックでの出番: ii・iii・vi がm7になります(Dm7, Em7, Am7)

トライアドのDmは「切ない」。Dm7は「切ないけど、なんだか心地いい」。この微妙な違いが、曲の雰囲気を左右します。

③ ドミナントセブンス(7)──「次に進みたい力」

メジャートライアドに短7度を足したコード。メジャーの明るさと短7度の緊張が同居する、ちょっと不思議な組み合わせです。

* G7 = G(1)+ B(3)+ D(5)+ F(♭7)

* 響きの特徴: 強い緊張感。「解決したい!」という力がトライアドのGより格段に強くなる

* ダイアトニックでの出番: V だけがこのタイプになります(G7)

コード進行の記事で学んだ「クライマックス(ドミナント)」を思い出してください。G7はクライマックスの緊張が最高潮に達した状態──日常(C)への「帰りたい力」が最大になります。


🏟️ ダイアトニックチームの「7th版」

ダイアトニックの記事で、トライアドのチームを学びました。ここに7度を足すと、チーム全員の性格がより明確になります:
ディグリートライアド7thコードタイプ性格の変化
I(1番目)CCmaj7maj7日常 → おしゃれな日常
ii(2番目)DmDm7m7葛藤 → 柔らかい葛藤
iii(3番目)EmEm7m7ナレーション → ふわっとしたナレーション
IV(4番目)FFmaj7maj7展開 → ドリーミーな展開
V(5番目)GG77クライマックス → 緊張MAX
vi(6番目)AmAm7m7回想 → 柔らかく切ない回想
vii°(7番目)BdimBm7♭5m7♭5衝撃 → じわっとした衝撃 ※名前が長いけど「特殊なやつ」くらいでOK

コード進行の記事で学んだドラマの骨格(日常・展開・クライマックス・回想・葛藤…)はそのまま。性格がより豊かになっただけです。

つまり、前の記事で作ったコード進行のコードをそのまま7th化するだけで、進行全体のグレードが上がります。

ディグリー前の記事で作った進行7th化した進行
I → V → vi → IVC → G → Am → FCmaj7 → G7 → Am7 → Fmaj7
ii → V → IDm → G → CDm7 → G7 → Cmaj7
IV → V → iii → viF → G → Em → AmFmaj7 → G7 → Em7 → Am7

この2つを弾き比べてみてください。同じドラマ、同じ構造なのに、空気感がまったく違うはずです。


✋ susコード──「一瞬、宙に浮かせる」

7thコードはトライアドに1音「足す」アプローチでした。susコード(Suspended Chord)はまったく違います。3度を別の音に置き換えることで、メジャーでもマイナーでもない宙ぶらりんな響きを作ります。白Tか黒Tかまだ決まっていない──そんな「おあずけ」の状態です。

* Csus4 = C(1)+ F(4) + G(5)── 3度のE を 4度のF に置き換え

* Csus2 = C(1)+ D(2) + G(5)── 3度のE を 2度のD に置き換え

susコードも3つの音で構成されますが、トライアドの条件である「3度」を含まないため、厳密にはトライアドとは区別されます。ただ、実用上は「3度を入れ替えたバリエーション」と捉えておけば十分です。

コードの記事で、「3度がメジャーかマイナーかを決める」と学びました。susコードはその3度を抜くので、明るくも暗くもない、開けた響きになります。 使いどころ: コード進行の中で一瞬だけsusにして、すぐ解決するのが定番。
Isus4 → I : Csus4 → C(宙ぶらりん → 安定。ほっとする)

Vsus4 → V : Gsus4 → G(宙ぶらりん → 緊張。じらしてからのクライマックス)

「sus」は "suspended"(吊り上げる)の略。3度を吊り上げて宙に浮かせている状態です。解決した瞬間の「ほっ」が、曲にメリハリを生みます


✨ add9コード──「隠し味を足す」

add9コードは、トライアドをそのまま残したうえで9度(2度の1オクターブ上)を加えるコード。7thコードのように7度を経由せず、トライアドに直接キラッとした音を足します。

* Cadd9 = C(1)+ E(3)+ G(5)+ D(9)── トライアド + 9度

Cの明るさはそのまま、9度(D)がキラッとした透明感を加える。

聴いてみよう: ザ・ポリスの〈Every Breath You Take〉。あのアルペジオの響きにはadd9が使われています。ギターの開放弦を活かした透明感のある音色──add9の「隠し味」効果がよく分かる1曲です。

テンション(Tension Note)って何?

9度のような、トライアドや7thコードの外側から追加する音を、音楽理論ではテンション(テンションノート / Tension Note)と呼びます。代表的なテンションは 9th、11th、13th の3つ。

ここで混乱しやすいのが、「susの2度や4度と何が違うの?」という点です。整理するとこうなります:

やっていることコードの骨格(1・3・5)は?
sus = 3度を入れ替えるCsus4: 3度→4度に差し替え壊れる(3度がない)
add/テンション = 骨格に足すCadd9: トライアド + 9度残る(1・3・5はそのまま)

susは「3度を抜いて宙ぶらりんにする」テクニック。テンション(add9など)は「骨格はそのまま、外から彩りを足す」テクニック。やっていることが根本的に違います

「Cadd9」と「C9」は名前が似ていますが、中身が違います:

コード構成音度数違い
Cadd9C + E + G + D1 + 3 + 5 + 9トライアドに9度だけを足したもの
C9C + E + G + B♭ + D1 + 3 + 5 + ♭7 + 9ドミナント7th(C7)にさらに9度を足したもの

Cadd9 は4音、C9 は5音。「add」=骨格を変えずに足すだけと覚えておけばOKです。

テンションの世界(9th、11th、13th)は奥が深いですが、まずはこのadd9の「隠し味」感覚を掴んでおけば十分。ここから先は、実際に音を出しながら少しずつ耳を広げていきましょう。


🎛️ OtoTheoryで「色塗り」を体験する

OtoTheoryでは、今回学んだ拡張コードを理論を知らなくても直感的に選べる仕組みが用意されています。

* コードダイヤル:コードを追加するとき、ダイヤル形式のセレクターでルート・カテゴリ・クオリティを選べます。カテゴリは5つ──「基本」にはメジャーやマイナー、7th系が、「飾り」にはsus4・sus2・add9が入っています。さらにPro版では「浮遊」(maj9, 6/9など)、「シティ」(m9, m11など都会的な響き)、「スパイス」(aug, dim7など緊張感のある響き)も解放されます。ダイヤルを回して試聴ボタンで鳴らし、気に入ったら進行に追加──耳で選んで、耳で確かめる。コードを選ぶと構成音と度数がダイヤルの下に表示されるので、「このコードはどの音でできているのか」もその場で確認できます

* OtoTheory AI:コードを並べていくと、次の候補として「IVmaj7でドリーミーに」「V7で強い解決感」のように、文脈に合った拡張コードが提案されます。提案をタップすれば即座に試聴できるので、トライアドとの違いを耳で確かめながら進められます

* フレットボード表示:7thコードやsusコードの構成音がフレットボード上に表示されます。「この指1本を足すだけで7thになるんだ」「この指をずらすだけでsus4になるんだ」というギター・ベースでの実感が得られます

試してみよう: 前の記事で作った進行を、コードダイヤルで7th化してみてください。C → G → Am → F を Cmaj7 → G7 → Am7 → Fmaj7 に変えるだけで、同じドラマの「画質」が上がったように感じるはずです。


✅ まとめ

トライアドに1音足すだけで、同じ進行がまったく別の空気感になる。コードの「種類」を広げることは、あなたの表現の引き出しを広げること。

* 7thコード: トライアドに7度を足す。3タイプ──maj7(おしゃれ)、m7(柔らかい)、7(緊張MAX)

* ダイアトニックチームを7th化すると、全員の性格がより豊かになる。ドラマの骨格は変わらない

* susコード: 3度を抜いて宙ぶらりんに。解決の「ほっ」がメリハリを生む

* add9コード: トライアドはそのまま、隠し味の1音でキラッと仕上げる

* まずは前の記事で作った進行を7th化して弾き比べるのが最も効果的な第一歩


📖 参照コンテンツ

この記事の作成にあたり、以下の情報源をもとに理論的な正確性と楽曲例の事実確認を行いました。

音楽理論・コードタイプの解説

* Seventh Chords – musictheory.net — セブンスコードの種類(maj7, 7, m7, m7♭5)と構成音

* Suspended Chords Explained – Fender — sus4・sus2 の定義、使いどころ、解決の仕組み

* What is an Add9 Chord? – JustinGuitar — add9 の構造とギターでの弾き方

* Seventh chord – Wikipedia — セブンスコードの理論的分類と歴史

楽曲分析

* Just the Two of Us Chords – Pianote — maj7 が印象的に使われた名曲のコード分析

* Every Breath You Take Chords – National Guitar Academy — add9 のアルペジオが特徴的な楽曲の解説

次の記事では、同じ役割を持つコード同士を入れ替える──代理コードのテクニックを学びます。

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